1.1 テルミン~ムーグ

本日も「音なLABO」へようこそ

シンセサイザーの歴史ハードウェア編、第1回目となります。
今回は主に、電子楽器の誕生に深く関わる「電気で音を作る」ということはどういうことか?
また、シンセサイザーの礎となったムーグ登場までの軌跡など。
こちらを中心に考察していきたいと思います。

 

1 電気を音に 電子楽器誕生の瞬間


時代にして19世紀末期頃から、電気を音に変換する構想は何人かの技術者の中で練られていました。
それらは、電話やラジオの技術的な応用から着想を得たものでした。
有名なもので言うと、エジソンの「フォノグラフ(蓄音機の原型となった発明)」などにより
音→電気信号という、イメージが少しずつ人々の頭の中を巡らせていたのですが、まだ電気そのもので音を作る段階には至っていませんでした。
そんな中、記録に残っている最古の、電気による振動そのものを音源とした楽器「テルハーモニウム」が発明されました。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/56/Teleharmonium1897.jpg

テルハーモニウム Wikipediaより

テルハーモニウムの音源方式は正弦波の加算合成を用い、この方式は後のハモンドオルガンへと継承されていきます。
この時代にはまだ「発振器」が発明されておらず、正弦波の生成にには発電機が使用されました。

 

2 シンセサイザー誕生前夜 電子回路による音のジェネレート


時は少し進み1916年。ド・フォレストによって真空管によるフィードバック回路が発明されました。
ここ10年の間に真空管が発明され、増幅回路など音響に欠かせない発見がなされてきました。
そして、フィードバック回路による音のジェネレートがいよいよ本格化する流れとなります。
この時代、中でも特に後世まで語り継がれる有名な楽器が発明されました。それが「テルミン」です。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c8/Etherwave_Theremin_Kit.jpg/250px-Etherwave_Theremin_Kit.jpg

テルミン Wikipediaより

音源方式はヘテロダイン方式(一つの正弦波にもう一つの正弦波を用いて音に変化を与えるラジオなどに使用される方式)
二本のアンテナに手を近づけて音高と音量を調節するユニークな操作方法を採用しました。
通説的に「最古のシンセサイザー」と紹介されることがありますが、音源方式から厳密的にはあと一歩のところまで近づいているといったところでしょうか。
まさに「シンセサイザー誕生前夜」を決定づけた楽器と言って過言ではないでしょう。

 

3 ムーグの登場 アナログシンセサイザーの決定版


テルミン以降、発振器を用いて様々な音に関わる開発が行われました。
オンド・マルトノ」、「トラウトニウム」、などを経てとうとうシンセサイザーという名を関した楽器「RCAミュージック・シンセサイザー」が登場するまでにいたります。


関連記事:【深堀】電子楽器の名機たち

 

そして、1965年アナログシンセサイザーの決定版とも言える「ムーグ」が登場します。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b9/Moog_Music_products_in_2007.jpg/350px-Moog_Music_products_in_2007.jpg

ムーグ Wikipediaより

ムーグはVCA、VCF、VCOを用いて、音に関わる要素の制御を全て電圧によってコントロールすることを可能にしました。
また、それらを電子回路として集約させたことで、現在に至る「電子楽器」の構造を決定づけたと言って過言ではないでしょう。

まとめ 

 

VCA?、VCF?、VCO?、アナログシンセサイザーに必要不可欠なエンベロープジェネレーターとLFO
ムーグ最大のライバル「アープ」についてなど...
この辺についてはまた別のお話で。